ECサイト運営の支援をはじめて約2年、月商100万円から月商3000万円を超えました。
この記事では、ECサイトで実施したSEO対策とその結果、SEOに対する考え方をまとめました。
目次
ECサイトの売上・粗利の推移とSEO対策結果
まず、売上と粗利がどのように伸びたのか、SEO対策の成果はどのように表れたのか結論からご覧ください。
2年間で月商が30倍増えたECサイト
現在は、月間売上3000万円を超えるECサイトに成長しました。でも支援当初は月間100万円前後で売上が伸び悩んでいたサイトだったんです。どのようにして売上拡大をしてきたのか…この記事では、中小企業のECサイトサイトを題材にECサイトでのSEO対策について事例をもとに紹介します。
ちなみに、このサイトは独自ECサイト(EC-CUBE)、専属社員1名+ぼくの2名体制で運営している通販サイトの事例です。楽天市場やYahooショッピングなどのショッピングモールに出店するECサイトでは考え方が異なるのでご注意ください。
自然検索流入数は約3倍に
上記は月間のセッション数と自然検索流入数の推移です。紆余曲折ありながらも自然検索流入数が3倍くらいになりました。実際におこなった具体的なSEO対策は後ほど説明します。また、セッション数が伸びているのは、プロモーションをし会員数・売上共に成長してきたためです。広告プロモーションの考え方については別途記事にしていますので、興味のある方はご覧ください。
ECサイトのSEO対策の超基礎編
まず、ECサイトに限らずウェブサイトすべてに共通しているSEO対策の基礎の基礎の話です。基礎の基礎の話なのですがECサイトではこの基礎的なSEO対策ですらやっていない会社が多いと感じています。システムの仕様上の問題でSEO対策ができない、費用対効果が見合わないから対策していない…という方が正しいかもしれません。EC-CUBEなどパッケージで自社ECサイトを運営しているのであればSEO対策しないと本当に損ですよ。
サーチコンソールに登録
サイト運営にあたっては当たり前のことなのですが、ECサイトでは意外とサーチコンソールに登録していない会社が多いんです。この事例企業でも例外ではなくサーチコンソールに登録していない状態でした。だからまず、サーチコンソールに登録し、サイトマップを読み込ませました。
Googleサーチコンソールへの登録は、SEO対策の以前にサイトの状況把握のために必須です。
マークアップの修正
ECサイトはホームページやブログに比べて動的処理が多くてプログラマ・エンジニア主導で構築しているケースが多いため、検索エンジン視点でみるとソースコードが汚いことが多いんですね。(あくまでも検索エンジンからみたソースコードの話です。)だから検索エンジンがクロールしやすいように、テンプレートを整えました。
マークアップとは…人間語が認識出来ない機械でも文書の構造が認識出来るように、文書の各要素に目印を与えて行くこと。
ソースコードの圧縮
Webページの表示速度を高めるためJavaScriptやcssなど構成ファイルを圧縮してファイル容量を小さくしました。ECサイトはファイル数も多いので塵も積もれば山となります。ただし、システム改修やデザイン修正を円滑に行うためのコメントアウト部分は残す…など運用に問題がでないように注意が必要です。
サーバーのチューニング
ある程度売り上げが拡大したところで、サイトの表示速度を改善しました。サイトの表示速度を上げることでSEO的にも効果があるし、ユーザーの利便性があがってコンバージョン率が高くなります。
このあたりはぼく自身ではできないので「ココをこんな感じにしてほしい」とエンジニアに依頼しました。サラっと書きましたが…本格的にインフラを最適化する場合はかなりの費用がかかりますので、最低限サイト訪問者・購入者がイライラしない程度のページ表示速度になるように最適化します。目安はクリックされてから2秒以内の表示です。
参考GoogleのPageSpeed Insights
検索結果で上位表示させるキーワードの選定方法
SEO対策の基礎を行ったあとは、GoogleやYahooなどの検索結果で上位表示させたいキーワードの選定に移ります。すべての検索ワードで検索結果上位表示する..ことはできないため、どういうキーワードを狙うべきかを決める必要がありますよね。実施したコツを紹介します。
記事コンテンツが多いメディア(ブログ)と違う点
ECサイトの場合、ページ数が多い一方、1ページあたりのコンテンツ量が少ない傾向があります。たとえばECサイトの商品詳細ページとニュース記事をイメージするとわかりやすいと思います。ニュース系記事の場合文字数が多いのですが、ECサイトの商品詳細ページは文字数が少ないですよね?
理想をいえばECサイトでも商品詳細ページの1ページあたりの文字数を増やすというSEO対策をしたいところです。しかし商品点数が多いECサイトの場合、コスト面で非現実的なSEO対策です。この事例企業も基本的に商品詳細ページの1ページあたりの文字数は変えずSEO内部施策中心に行ってます。
キーワードのあたりをつける
最も多いパターンは商品名・ブランド名・カテゴリ名・型番などの商品系キーワードと、安い・最安値・比較・通販などの購入検討系のキーワードを組み合わせた複合キーワードです。
- ブランド名 安い
- ブランド名 最安値
- ブランド名 比較
- ブランド名 通販
単品通販の場合や、商品名が知られていない場合は少し違ったキーワードを狙うことになりますが、ECサイトのSEO対策の場合だいたい決まっています。
検索連動型広告を出稿
Google AdWords広告やYahoo!プロモーション広告でキーワード連動広告を出稿しました。キーワード毎の表示回数(インプレッション)、クリック率、コンバージョン率(購入率)などを把握し、どの複合キーワードがショッピングサイトに合っているかを判断する材料に使います。
検索ボリュームを調査しキーワード毎の競合を調査する方法もありますが、調査したところで1記事毎・1キーワード毎に修正はできないため、この事例企業では実施していません。商品点数が少ない単品通販の場合、検索ボリュームや競合を調査してから対策するのも有効です。興味のある方は、以下記事をご覧ください。
狙ったキーワードで検索上位表示させる
検索結果で上位表示させるキーワードの選定をしたら、いよいよサイトの修正です。SEO対策のために新たなコンテンツ(文字要素)を追加しないと決めていましたので基本的にテンプレートのみの修正を行いました。
商品詳細/商品一覧テンプレートの修正
Amazonや楽天市場、ベルメゾンといった..大手ECサイトの場合は知名度も高くトップページから商品を探してくれる場合もあります。でも残念ながら、知名度の低い小規模ECサイトはTOPページから商品を探してくれるユーザーは非常に少ないのです。つまり、中小規模のECサイトのSEO対策すべきは、商品詳細ページなどのいわゆる下層ページです。
リスティング広告で検証した狙うべきキーワードを意識して、titleタグ、h1などの見出しタグ、meta descriptionタグあたりを修正します。全体的な底上げを狙っての施策であれば、正直この程度でも十分効果はでてきます。逆をいえば、このような基礎的なSEOですらできてない企業が多いんです。コレ本当です。
内部リンクの修正
1ページあたりのリンク数が多くし過ぎると検索エンジンからの評価が悪くなり、検索結果で上位表示されるのが難しくなります。ECサイトの場合、ユーザーのサイト内回遊を高めるためリンクが多くなっている傾向があるので、内部リンクを少し減らしたり、rel=”nofollow”をつけて検索エンジンのクローラーがリンク先をみないように修正しました。(rel=”nofollow”については都市伝説的なものがあるので、やらなくてもよいかもしれません。)
ECサイトSEO対策の結果
最初に紹介したように、自然検索流入数がどんどん増え約3倍になりました。ただし、これは今までまともなSEO対策をしていなかったショッピングサイトの場合の話であって、すでにSEO対策しているECサイトでは効果が異なります。増えた要因は以下3つ。
狙ったキーワードの検索順位が全体的にアップした
SEO対策で注力したキーワードを日々チェックしていると必ず上がってきます。しかも検索連動型広告で効果検証をおこなってからキーワードを選定しているので、自然検索流入のアクセス増加は売上に直結しました。
他のサイトが自滅した結果、相対的に順位が上がった
これまで紹介したSEO対策は、ホワイトハットSEOと呼ばれる正規の対策です。しかしその一方で、外部からの被リンクを購入するなどGoogleの品質ガイドラインに違反するSEO対策(いわゆるブラックハットSEO)を行っている会社もまだまだ見受けられます。
ホワイトハットSEOを地道に続けることで、パンダアップデート・ペンギンアップデート・クオリティアップデートといった検索結果の品質が改善されるにつれ…ブラックハットSEOをしている他のサイトが自滅していきます。つまり、検索結果の変動があるたびに自社のECサイトの評価が相対的に高まっていくのです。
広告や経年で知名度が上がった
これはSEO対策結果というよりも、サイト成長による純増です。SEO対策のほか、広告プロモーション・会員の増加によってサイトの知名度があがり、検索してくれる人が増えてきているからです。まともにサイトを運用し売上を伸ばしていると自然検索流入数も自然と増えてくるのです。
ECサイトSEO対策の課題と注意点
SEO対策をしても、120%~200%くらいの売上アップしか難しい
SEOでアクセス数を増やし、流入経路を最適化したとしても120%~200%くらいの拡大しか望めない…というのが個人的な見解です。大手ECサイトでSEO改善で120%にしたら売上も何億円って変わるのでかなりのインパクトがありますが、中小規模ECサイトは改善したとしてもたかがしれてると思います。
つまり、月商数百万円のECサイトでSEO対策だけに注力しても月商1000万円を超えることができないと思うんです。(誤解されないよう補足すると、ECサイトの売上が全体的にアップしたり、超ヒット商品を独占的に扱っていれば、自然検索流入の絶対数が増えて売り上げが何倍にもなります。でもそれはSEO効果とはちょっと違うと思うんですね。)